藍よりも青き碧空 愛よりも淡き空寂 一炷の香
照滴033
本文
藍よりも青き碧空 愛よりも淡き空寂 一炷の香
形式
#短歌
カテゴリ
#5.自然・風景
ラベル
#空 #光 #自然現象 #香
キーワード
#藍 #碧空 #愛 #空寂 #香
要点
自然の色や香りを通して、心の静寂と精神性を描く。
現代語訳
藍よりも深く青い空、愛よりも淡い空の静けさ、一炷の香の煙が立ち上る。
注釈
藍よりも青き碧空:藍色(深い青)よりもさらに清らかで深い青い空。清浄の極致。
愛よりも淡き空寂:愛という激しい情念よりも、はるかに静かで薄い(執着がない)静寂な悟りの境地(空寂)。
空寂:空の静寂、禅的感覚
一炷の香:一本の香を焚く時間(照滴010)
解説
自然の色や香りを比喩に、精神の静寂や悟りの感覚を表現。禅的修行や瞑想の情景とも呼応する短歌。
深掘り_嵯峨
世俗の価値観を仏教的な真理の尺度で測り、その超越性を表現した歌です。
視覚的な究極の美(藍よりも青き碧空)と、精神的な究極の安寧(愛よりも淡き空寂)を対比させています。人間の最も激しい情念である「愛」でさえ、「空寂」という煩悩を離れた境地から見れば、「淡い」ものに過ぎない、という深い無執着の悟りが示されています。そして、その境地が「一炷の香」の間に得られることを示唆しています。